取引先との値上げ交渉、押さえておきたいポイントとは?

近年、様々な分野で価格が上昇しています。特にモノを作って売る業態では、原価が上がれば商品の販売価格も上げる必要がありますが、「なかなか取引先に値上げを切り出せない」と足踏みするケースが多いのではないでしょうか。

今回は、取引先との値上げ交渉がラクになる、必ず押さえておきたいポイントをお伝えします。

 

最も大切なポイントは、自分の会社の状況を数字で把握できているかどうかです。これをやっておくと、取引先に値上げ交渉する際に

「原価が上がっていてしんどいんですよ……。」

と、感情論だけで訴えなくても済むようになります。

 

把握しておきたい数字とは、例えば次のようなものです。

・原価がどれくらい上がったのか

・その結果、粗利益がどれくらい減ったのか

・現状の粗利益で固定費が賄えているのか

・元の粗利益を取り戻すためには、どれくらい売らなくてはならないのか

 

感覚的には「10%仕入れ値が上がったら10%多く売ればよい」という感じもしますが、収益構造(粗利益率)によってはもっと売らないといけない場合があります。
私のセミナーに出席した経営者さんに計算してもらったところ、実際には30%多く売る必要があるとわかったケースもあります。

 

このように主要な数字を把握しておけば、価格交渉の時に論理的に説明できるようになります。例えば、

「現在の価格のままだと、固定費がぎりぎり賄えるラインで非常に厳しい。だから、5%値上げさせていただきたい」

というように論理的に説明すれば、取引先にもしっかり状況が伝わります。お願いや説得ではなく冷静に事実を説明すればよいので、話を切り出す方としても気が楽ですよね。

 

逆に、「原価が上がってしんどいんですよ。できるだけ値上げしたいのですが、何とかなりませんか」というような言い方だと、取引先にとっても自社にとっても交渉のポイントがはっきり定まらず困ってしまいます。

 

皆さんの商品・サービスを購入することによって、お客様は何かしらの「お困りごと」が解決されています。

必要な利益が確保できないということは、ビジネスを継続することができないことになり、それは「お客様のお困りごと解決」を中止するということにつながります。

値上げをするということは、ある意味お客様にとっても大切なことと言えます。ぜひ会社の状況を数字で把握して交渉に臨んでみてくださいね。